目の病気について

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このページでは様々な目の病気についての簡単な説明をします。

症例(19) 加齢黄斑変性治療 最新の話題2012

はじめに

今回は、先日の平成24年7月の静岡網膜硝子体研究会でお話しした内容を紹介したいと思います。少し難しい内容になると思いますがご容赦ください。ラニビズマブ(商品名:ルセンティス)の眼内への注射は標準の加齢黄斑変性治療として全世界的に定着しています。しかし、頻回の注射が必要であるという短所があり、医師、患者ともに大きな負担を強いられています。そこで、石川眼科医院ではルセンティスの眼内注射、ステロイドであるトリアムシノロン(商品名:ケナコルト)のテノン嚢下注射と光線力学的療法を組み合わせた治療を標準治療として、少ない治療回数で良好な治療成績を得ましたので報告します。

石川眼科医院での治療方法

石川眼科医院では、まず最初にルセンティスの眼内注射とケナコルトのテノン嚢下注射を行い、その3日後に光線力学的療法を行います。この方法はルセンティスやケナコルトなどの薬剤による加齢黄斑変性に伴う脈絡膜新生血管への治療効果を期待するのと、レーザー治療である光線力学的療法の治療そのものによる炎症を抑える効果があります。その後、さらに1か月後、またその1か月後に必ずルセンティスの眼内注射を行います。これによって、十分に病変を抑えることにより病気が再発しにくくなっているのだと考えられます。

治療成績(視力)

2010年9月から2012年6月までに82人の患者さん、両眼を治療した方もいますので86眼にこのルセンティス・ケナコルト併用光線力学的療法を行ってきました。当院の治療方法を行った患者さんは、治療が終了した時点で全員加齢黄斑変性は落ち着く、すわなち網膜剥離や出血はなくなりました。図1に皆さんの視力を平均したグラフを示しましたが、治療を行っても視力を改善することは困難であると言われていた加齢黄斑変性にたいし、グラフでは若干ではあるが視力が上昇し、それを維持できているのがわかります。

治療成績(治療回数)

加齢黄斑変性は再発があり得る病気です。石川眼科医院での標準治療を受けると、1年間再発がなければ1年間での治療回数はルセンティスの眼内注射が3回、光線力学的療法が1回となります。石川眼科医院で治療を開始して1年間経過をおえた患者さん51眼の1年間での再発の頻度や治療回数を見てみると、再発した患者さんは51眼中14眼(27%)、ルセンティスの眼内注射は平均3.6回、光線力学的療法は平均1.3回でした。これは欧米で行われた研究CATT試験で報告された1年間でのルセンティスの眼内注射回数、平均6.9回に比べ、かなり少ない治療回数で1年間経過できていることがわかります。

おわりに

今回ここで書きましたように、石川眼科医院での加齢黄斑変性に対するラニビズマブ・トリアムシノロン併用光線力学的療法とその後2回のルセンティスの眼内注射を施行する治療法は少ない治療回数で 視力の改善維持ができることがわかりました。

  • 図1:平均視力の変化

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