このページでは様々な目の病気についての簡単な説明をします。
症例(2) 白内障手術
白内障手術とは?
水晶体嚢という水晶体の外側の袋は残して、中身の濁った水晶体核・皮質だけを除去し、残した水晶体嚢の中に眼内レンズ(人工レンズ)をいれる手術です。
実際の当院での白内障手術手順
- 眼の消毒:消毒液を浸した綿球で目の周囲を消毒した後に、消毒液で眼球を洗います。
- ドレーピング:ドレープというビニールで眼の周りの皮膚やまつげを覆い、ビニールの真ん中を切り、手術をする眼球だけ露出させます。
- 麻酔:眼の局所麻酔をします。ほとんどが点眼麻酔で問題ありませんが、痛みを訴える方や眼球が動きやすい方には別の麻酔(テノン麻酔、球後麻酔)をおこないます。
- サイドポート作成:角膜(くろめ)の縁に2か所、器具をいれる小さな創を作成します。
- CCC:手術中はちょうど図1のような状態を顕微鏡で観察することができます。真ん中の白い部分が水晶体で、白く濁った水晶体核や皮質が透明な水晶体嚢という袋に包まれています。その水晶体嚢の前面を約5~6ミリの大きさで丸く切開し、くりぬきます。これをCCCといいます。
- メインポート作成:白内障を砕きながら吸引する超音波チップを挿入する穴を角膜の縁に作ります。現在当院では2.2ミリの創を作成してます。
- ハイドロダセクション:濁った水晶体核や皮質と、水晶体嚢の隙間に水をとおして、分離します。
- 水晶体乳化吸引術:超音波チップをメインポートから挿入し、白く濁った水晶体核を超音波で砕きながら吸引します。
- 皮質吸引:吸引だけを行えるチップを挿入し、水晶体皮質を吸引します。その後水晶体嚢の後面を磨きます。
- 粘弾性物質注入:眼内レンズをいれる水晶体嚢を粘弾性物質というどろっとした物質で膨らませます。
- 眼内レンズ挿入:2.2ミリの創からインジェクターという器具を使って、折りたたんだレンズを水晶体嚢のなかに挿入します。水晶体嚢の中に入った折りたたまれたレンズは数秒で広がり、水晶体嚢内に固定されます(図2、3)。
- 粘弾性物質除去:吸引チップで粘弾性物質を除去します。
- 眼圧調整:サイドポートから特殊な液体を注入して眼圧を調整し、まったく縫わないで傷口を閉鎖させます。
- 抗生剤・ステロイド剤の結膜下注射で終了
最後に
当院での白内障手術はすべて日帰り手術です。
図1 白内障
図2 眼内レンズを挿入した眼
図3 眼内レンズを挿入した眼の断面図