このページでは様々な目の病気についての簡単な説明をします。
症例(12) 網膜静脈閉塞症
網膜静脈閉塞症とは?
網膜静脈閉塞症とは、動脈硬化をおこした硬い網膜動脈と柔らかい網膜静脈が交叉している部分で、網膜静脈が圧迫されてつまってしまう病気です。静脈がつまりその部の血液の流れが遮られることによって眼底出血やものを見る真ん中の黄斑部網膜の浮腫(腫れ)を引き起こします(図1)。
症状は?
視力が下がる、ゆがんで見える、視野の中に見えない部分があるなどが初めの症状です。また網膜の血流障害が続くと、網膜に悪い血管(新生血管)が発生し、新生血管は非常にもろく、すぐに破れて出血を起こします。出血が眼の中で起こると(硝子体出血)、目の前に霞がかかったように見にくくなります。さらに病状が悪化すると眼の茶目の部分である虹彩に新生血管が発生し緑内障になることがあります。その場合はとても目が痛くなることがあります。
治療は?
- 網膜浮腫を軽減させたり、新生血管の発生を予防したり、すでに出現してしまった新生血管の活動性を下げることを目的として、レーザーで網膜光凝固術(網膜を焼く)を行います。光凝固は正常な網膜の一部を犠牲にしますが、全ての網膜が共倒れになるのを防ぐために大切な治療です。
- 網膜の浮腫の軽減のため、薬剤を眼内に注射することがあります。比較的有効性が高い治療ですが、数か月で薬の効果がきれて浮腫が再発することがあり、そのときは再度注射をするか、硝子体手術を行った方がいい場合があります。
- 硝子体手術では、炎症物質をたくさん含んだ硝子体を除去し、黄斑浮腫がある場合、これを早く引かせるために、浮腫のある網膜上の薄い膜を除去し、網膜表面をお掃除します。また網膜静脈の閉塞を解除することが可能な場合は、静脈が閉塞している部分で、静脈と動脈の癒着を解除する手術を行うことがあります。
図1 網膜静脈閉塞症の眼底写真