このページでは様々な目の病気についての簡単な説明をします。
症例(8) 飛蚊症と網膜剥離
飛蚊症とは?
目の前に虫や糸くずのような浮遊物が飛んで見えるような感じがして、視線を動かしても一緒に移動し、まばたきをしても目をこすっても消えないような症状をいいます。明るいところや白い壁、青空などを見つめたときに症状が強くなることが多いです。
原因は?
眼球の中には硝子体というゼリー状の透明な物質がつまっており、もともとは眼の中のフィルムの役割をしている網膜にくっついています。多くの原因は、歳をとることにより硝子体が液状に変化してきて、収縮して網膜からはがれ(硝子体剥離:図1)、それが眼内で浮遊し、硝子体が見えるようになってしまうことによります。まれに、硝子体が網膜からはがれるとき、網膜を引っぱって網膜を破ってしまったり(網膜裂孔)、破れた穴から硝子体が網膜の下に入り込んで網膜がはがれてしまったり(網膜剥離:図2、3)します。
治療は?
硝子体剥離だけなら治療は必要ありません。飛蚊症はうっとうしいですが生涯つきあわなければなりません。網膜裂孔、網膜剥離がおこってしまったら、レーザー治療や手術が必要になります。網膜剥離の手術は眼球の周りにシリコンバンドを巻いて治す網膜復位術と、網膜をひっぱっている硝子体を切除除去する硝子体手術があります。
飛蚊症があったらどうする?
飛蚊症のほとんどは病気ではありませんが、網膜裂孔や網膜剥離など怖い病気がひそんでいる可能性があるので早めに眼科を受診しましょう。
図1 左が正常、右が硝子体剥離
図2 網膜裂孔が原因となる網膜剥離(裂孔原生網膜剥離)
図3 網膜剥離の眼底写真 右側が剥離した網膜